警視庁にした質問の回答をいくつか↓の記事で書いたわけですが、
普通自転車の細かい基準は日本交通管理技術協会に確認してと言われたわけですよ
そんなわけねえだろ。。。警察でも把握しているだろ。。。と思いながら日本交通管理技術協会に確認してみました
まあ気になることもあったので
日本交通管理技術協会とは
まず、日本交通管理技術協会とはなんぞやというわけですが、↓のような感じ
公益財団法人日本交通管理技術協会(略称 管技協)は、交通管理に関する技術の研究開発及び普及、自転車の点検整備等安全利用の促進等を行い、もって道路における危険の防止、交通安全と円滑及び道路交通に起因する障害の防止に寄与するとともに、海外における交通管理に関する技術についての協力援助を行うことを目的とした公益法人です。
協会の概要
この協会が、いろんなものに対して型式認定を行っています
型式認定というのは、道路交通法令に記載された様々な基準を各機器、機材が満たしているかを検査するものです
型式認定に関する法令は、「道路交通法施行規則 第三十九条の二~八」の部分ですね
日本交通管理技術協会の型式認定で対象となっているものは以下の通り
- 原動機を用いる歩行補助車等(1号、2号)
- 原動機を用いる軽車両
- 駆動補助機付自転車
- 原動機を用いる身体障害者用の車椅子
- 普通自転車
- 牽引用具
- 自転車用反射器材
- 停止表示器材(停止表示板・停止表示灯)
- 運転シミュレーター
5つ目にある通り、普通自転車の型式認定もこの協会がやっているわけで、警視庁からここに基準を問い合わせろと言われたので聞いてみることにしました
普通自転車の道路交通法令の基準と型式認定基準の違い
ぶっちゃけ、ここ読まなくても良いです
この差異はほとんどの人に関係ないので
道路交通法の基準は、毎度のことですが↓です
(普通自転車の大きさ等)
道路交通法施行規則
第九条の二の二 法第六十三条の三の内閣府令で定める基準は、次の各号に掲げるとおりとする。
一 車体の大きさは、次に掲げる長さ及び幅を超えないこと。
イ 長さ 百九十センチメートル
ロ 幅 六十センチメートル
二 車体の構造は、次に掲げるものであること。
イ 四輪以下の自転車であること。
ロ 側車を付していないこと。
ハ 一の運転者席以外の乗車装置(幼児用座席を除く。)を備えていないこと。
ニ 制動装置が走行中容易に操作できる位置にあること。
ホ 歩行者に危害を及ぼすおそれがある鋭利な突出部がないこと。
日本交通管理技術協会が実施している普通自転車の型式認定基準は↓に書いてあります
比較してみるとわかりますが、型式認定基準の方がだいぶ細かいです
そして、試験方法まで確認すると、超面倒な感じになっています。。。
https://www.npa.go.jp/laws/notification/koutuu/kouki/20201201katashikihutsuu.pdf
車体の大きさ
車体の大きさはどちらも同じ
- 長さ 190cm以下
- 幅 60cm以下
車体の構造
道路交通法施行規則では以下の通り
- 四輪以下の自転車であること。
- 側車を付していないこと。
- 一の運転者席以外の乗車装置(幼児用座席を除く。)を備えていないこと。
- 制動装置が走行中容易に操作できる位置にあること。
- 歩行者に危害を及ぼすおそれがある鋭利な突出部がないこと。
型式認定基準では以下の通り
- 2輪以上4輪以下であること。
- 側車を付していないこと。
- 1つの運転者席以外の乗車装置を備えていないこと。
- 通常の乗車走行及び取扱い操作において、身体に危害を及ぼすおそれのある鋭利な突出部又は鋭いかど、とがり等の先鋭部がないこと。
- 通常の乗車姿勢で、運転中ペダルが地面と接触しないものであること。
- ダイヤモンド型フレームを用いたものにあっては、乗降に支障のある高い部分が座面付近にないこと。
ブレーキについては型式認定基準だと別途定められているのでひとまず置いておきますが、細かいのを除いて違っているのは以下の2つですかね
- 通常の乗車姿勢で、運転中ペダルが地面と接触しないものであること。
- ダイヤモンド型フレームを用いたものにあっては、乗降に支障のある高い部分が座面付近にないこと。
あとは、突出物について、道路交通法施行規則だと歩行者と明記されていますが、型式認定基準だと身体となっているくらいかな
試験方法では、サドルの座面の長さがどうだとか、ワイヤーの末端の処理方法がどうだとかもっと細かく書かれています。。。
ちなみに、車輪の数については、道路交通法施行規則だと一輪車もOKのように思えるかもしれませんが、道路交通法の自転車の定義が2輪以上なので、道路交通法施行規則でも一輪車は自転車には含まれません
(定義)
道路交通法
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
十一の二 自転車 ペダル又はハンド・クランクを用い、かつ、人の力により運転する二輪以上の車(レールにより運転する車を除く。)であつて、身体障害者用の車椅子及び歩行補助車等以外のもの(人の力を補うため原動機を用いるものであつて、内閣府令で定める基準に該当するものを含む。)をいう。
制動装置
道路交通法施行規則では以下の通り(普通自転車かどうかは関係ないです)
(普通自転車の大きさ等)
道路交通法施行規則
第九条の二の二 法第六十三条の三の内閣府令で定める基準は、次の各号に掲げるとおりとする。
二 車体の構造は、次に掲げるものであること。
ニ 制動装置が走行中容易に操作できる位置にあること。
(制動装置)
道路交通法施行規則
第九条の三 法第六十三条の九第一項の内閣府令で定める基準は、次の各号に掲げるとおりとする。
一 前車輪及び後車輪を制動すること。
二 乾燥した平たんな舗装路面において、制動初速度が十キロメートル毎時のとき、制動装置の操作を開始した場所から三メートル以内の距離で円滑に自転車を停止させる性能を有すること。
型式認定基準では以下の通り
3.制動装置の構造、形状及び性能
普通自転車の型式認定基準
(1) 構造及び形状
ア ブレーキレバーは、通常の乗車姿勢にある運転者の肩より下方にあり、かつ、手を用いて容易に操作できる位置にあること。
イ 前車輪及び後車輪を、それぞれ別系統で確実に制動できること。
ウ 反覆して制動した場合において、制動装置各部及び取付け部に異常を生じないこと。
(2) 性能
乾燥した平たんな舗装路面において、制動初速度が10km/hのとき、制動操作を開始した場所から3m以内の距離で、円滑に自転車を停止させる性能を有すること。
これも試験方法では、ブレーキレバーとハンドルバーの最短距離がどうだとか、どれくらいの力でブレーキを握るのかとか細かく書かれています
まあ、ブレーキの性能は乗車する人の重量やブレーキを握る力とかを決めていないと意味ないですから仕方ないですね
反射機材や灯火
道路交通法では尾灯や反射機材について以下のような感じ(普通自転車かどうかは関係ないです)
(車両等の灯火)
道路交通法
第五十二条 車両等は、夜間(日没時から日出時までの時間をいう。以下この条及び第六十三条の九第二項において同じ。)、道路にあるときは、政令で定めるところにより、前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない。政令で定める場合においては、夜間以外の時間にあつても、同様とする。
(自転車の制動装置等)
道路交通法
第六十三条の九
2 自転車の運転者は、夜間(第五十二条第一項後段の場合を含む。)、内閣府令で定める基準に適合する反射器材を備えていない自転車を運転してはならない。ただし、第五十二条第一項前段の規定により尾灯をつけている場合は、この限りでない。
とりあえず、夜間走行する場合は反射機材(もしくは尾灯)をつけろと
尾灯の基準は道路交通法施行令にあります
ただ、またたらい回し。。。
(道路にある場合の灯火)
道路交通法施行令
第十八条 車両等は、法第五十二条第一項前段の規定により、夜間、道路を通行するとき(高速自動車国道及び自動車専用道路においては前方二百メートル、その他の道路においては前方五十メートルまで明りように見える程度に照明が行われているトンネルを通行する場合を除く。)は、次の各号に掲げる区分に従い、それぞれ当該各号に定める灯火をつけなければならない。
五 軽車両 公安委員会が定める灯火
各都道府県の条例に記載されている灯火の基準は↓でまとめています
とりあえず、東京都を抜粋すると、自転車の基準はこんな感じ
尾灯は東京と神奈川が赤のみ、その他の45道府県は赤色か橙色でした
(軽車両の灯火)
東京都道路交通規則
第9条 令第18条第1項第5号の規定により軽車両(牛馬を除く。以下この条において同じ。)がつけなければならない灯火は、次に掲げるものとする。
(1) 白色又は淡黄色で、夜間、前方10メートルの距離にある交通上の障害物を確認することができる光度を有する前照灯
(2) 赤色で、夜間、後方100メートルの距離から点灯を確認することができる光度を有する尾灯
3 自転車が、法第63条の9第2項本文に定める反射器材(後面の幅が0.5メートル以上の自転車にあつては、両側にそれぞれ1個以上)を備え付けているときは、第1項の規定にかかわらず尾灯をつけることを要しない。
反射機材の基準はこんな感じ
(反射器材)
道路交通法施行規則
第九条の四 法第六十三条の九第二項の内閣府令で定める基準は、次に掲げるとおりとする。
一 自転車に備え付けられた場合において、夜間、後方百メートルの距離から道路運送車両の保安基準(昭和二十六年運輸省令第六十七号)第三十二条第一項の基準に適合する前照灯(第九条の十七において「前照灯」という。)で照射したときに、その反射光を照射位置から容易に確認できるものであること。
二 反射光の色は、橙色又は赤色であること。
たらい回し感半端ない。。。
一発で書いておいてくれないですかね。。。
次に、型式認定基準ですが、こんな感じ
4.反射器材又は尾灯の構造、形状及び性能
普通自転車の型式認定基準
(注) 小型であって、JIS D9302の適用を受けることとなる自転車について、反射器材又は尾灯を備えている場合は、この項を適用する。
(1) 構造及び形状
反射器材又は尾灯は、走行中後方より容易に見える位置に、正しく、かつ、確実に取り付けられていること。
(2) 性能等
ア 反射器材の性能及び色
自転車に備え付けられた場合において、夜間後方100mの距離から道路運送車両の保安基準第32条第2項の基準に適合する前照灯で照射したときに、その反射光を照射位置から容易に確認できるものであること。
反射光の色は、赤色(ペダル用にあっては赤色又は橙色)であること。
イ 尾灯の性能及び色
自転車に備え付けられた場合において、夜間後方100mの距離から、その灯光を容易に確認できるもので、実用に耐えるものであること。灯光の色は、赤色であること。
前照灯の基準はこんな感じ
7.構成部品以外の部品の構造、形状及び性能
普通自転車の型式認定基準
前照灯、スタンド、又は錠が装備されている場合にあっては、次の基準に適合するものとする。
(1) 前照灯の構造等
ア 正しく取り付けられ、走行中に確実に固定されるとともに、正常に動作すること。
イ 自転車に備え付けられた場合において、夜間前方10mにある交通上の障害物を容易に確認できるもので、実用に耐えるものであること。灯火の色は、白色又は淡黄色であること。
というか、反射機材の基準で指されている法令すら違うくない?
道路交通法施行規則:道路運送車両の保安基準第三十二条第一項の基準に適合する前照灯
型式認定基準:道路運送車両の保安基準第32条第2項の基準に適合する前照灯
第1項と2項の違いがあるんだけど。。。
ちなみに、道路運送車両の保安基準 第32条は以下の通り
(前照灯等)
道路運送車両の保安基準 第32条
第32条 自動車(被牽引自動車を除く。第4項において同じ。)の前面には、走行用前照灯を備えなければならない。ただし、当該装置と同等の性能を有する配光可変型前照灯(夜間の走行状態に応じて、自動的に照射光線の光度及びその方向の空間的な分布を調整できる前照灯をいう。以下同じ。)を備える自動車として告示で定めるものにあつては、この限りでない。
2 走行用前照灯は、夜間に自動車の前方にある交通上の障害物を確認できるものとして、灯光の色、明るさ等に関し告示で定める基準に適合するものでなければならない。
気にしなくて良い感じっぽい
警音器
法令探しても具体的な基準が書いていない。。。
原動機付自転車や自動車の基準は見つかるのに軽車両の基準が見当たらない。。。
あ、これも法令の方は普通自転車かどうかは関係ないです
道路交通法で書かれているのは警音器を使用して良いタイミング
(警音器の使用等)
道路交通法
第五十四条 車両等(自転車以外の軽車両を除く。以下この条において同じ。)の運転者は、次の各号に掲げる場合においては、警音器を鳴らさなければならない。
一 左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかど又は見とおしのきかない上り坂の頂上で道路標識等により指定された場所を通行しようとするとき。
二 山地部の道路その他曲折が多い道路について道路標識等により指定された区間における左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかど又は見とおしのきかない上り坂の頂上を通行しようとするとき。
2 車両等の運転者は、法令の規定により警音器を鳴らさなければならないこととされている場合を除き、警音器を鳴らしてはならない。ただし、危険を防止するためやむを得ないときは、この限りでない。
都道府県の条例だと、警音器を付けろとしか書かれていない。。。
(運転者の遵守事項)
東京都道路交通規則
第8条 法第71条第6号の規定により、車両又は路面電車(以下「車両等」という。)の運転者が遵守しなければならない事項は、次に掲げるとおりとする。
(9) 警音器の整備されていない自転車を運転しないこと。
道路運送車両法も同じく
(軽車両の構造及び装置)
道路運送車両法
第四十五条 軽車両は、次に掲げる事項について、国土交通省令で定める保安上の技術基準に適合するものでなければ、運行の用に供してはならない。
五 警音器
道路運送車両の保安基準も同じく
(警音器)
道路運送車両の保安基準 第72条
第72条 乗用に供する軽車両には、適当な音響を発する警音器を備えなければならない。
ん~、見当たらないのでまた探しておきましょう。。。
「国土交通省令で定める保安上の技術基準」って書いてあるんですが、軽車両の基準がわからん。。。
型式認定基準だとこんな感じ
5.警音器の構造、形状及び性能
普通自転車の型式認定基準
(1) 構造及び形状
正しく、確実に取り付けられ、かつ、正常に作動すること。
(2) 性能
適切な音色で、適当な音量の音を発すること。
詳細はこんな感じ
型式認定基準の方は基準が書かれているんですが。。。
まあ、法令は後で探します
その他
型式認定基準には、その他にも、自転車に取り付けられているスタンドや錠等についても基準があります
スタンドも錠も自転車に装備していないので、見たい人は↓を
日本交通管理技術協会に質問してみた
法令と型式認定基準の差異について
法令で定められている基準だけで普通自転車と認められるのか、型式認定基準をすべて満たす必要があるのか、聞いてみました
まあ、法令だけで問題ないとは思いますが。。。念の為。。。
普通自転車の型式認定基準が、道路交通法施行規則に書かれている普通自転車の基準よりめっちゃ厳しいんだけど、道路交通法施行規則の基準だけ満たせばオッケー?
てか、そもそもこの基準ってなんなの?
自転車を作っているメーカー(BRIDGESTONEとか)が自転車を作るときに協会に申請をしてくる
そのときに利用する基準が型式認定基準で、これらを満たせば国家公安委員会の委員長の認証が付くことになる(つまり、その商品が普通自転車扱いとなる)
ただ、道路を普通に乗るだけであれば、型式認定基準を満たさなくても問題ない
道路交通法、道路交通法施行令、道路交通法施行規則とかに書かれている普通自転車の基準を満たしていればオッケー
あざーす
基準の違いを書いているところで、「ここは読まなくても良い」と書いた理由はこれです
型式認定基準は満たしていなかったとしても、普通自転車として認められます
法令よりも厳しい基準だから、型式認定基準を満たしていれば法令に書かれている普通自転車の基準も満たしているよね、的な感じっぽいです
普通自転車のサイズについて
普通自転車のサイズは、道路交通法施行規則でも型式認定基準でも、同じく長さ190cm以下、幅60cm以下です
で、このサイズなんですが、クランクの位置やペダルの傾きで長さが超えたり超えなかったり、横幅も後写鏡等の取付け具合で幅が超えたり超えなかったりするギリギリのサイズはどうなるのかと思って聞いてみました
サイズの基準って、どれ?
・最長となる状態
・最短となる状態
・最長と最短の相加平均
・その他の基準
最長となる状態
ですよね~
最長となる状態でサイズ測りますよね。。。
まあ、クランクの位置とかでサイズが収まる/収まらないって自転車持っていないのであんまり関係ないのですが。。。
まとめ
とりあえず、普通自転車の型式認定基準は気にせずに法令だけチェックしていれば問題ないっぽいです
試験方法には色々詳細も載っていて、どういうものが鋭利な突出物なのかも記載されています
そのあたりの参考にはなるかと
https://www.npa.go.jp/laws/notification/koutuu/kouki/20201201katashikihutsuu.pdf
警音器の基準だけ探しておこう。。。
おわり